
最近少しだけ読書にハマっています。
本を読み、その本のレビューをnoteに書くのが楽しい。
ジャンルは色々。
クルマの本も3冊分の感想を書きました。
せっかくなので私の本家であるこちらのブログでもご紹介したいと思います。
『なぜクルマ好きは性能ではなく物語を買うのか』(山崎 明著)
『終のクルマ選び』(温水 ひろし著)
『僕らがポルシェを愛する理由』(山川 健一著)
今回はこの3冊です。
『なぜクルマ好きは性能ではなく物語を買うのか』
(山崎 明著)
自動車メーカーのブランド哲学を知りたい
日本の消費社会、とりわけクルマ界隈には「ブランド名に惑わされず本質を見るべきだ」というアンチブランド信仰が根強く存在します。「モノづくりの国」を自負し、職人の技術や歴史を重んじるはずなのに、その結晶であるブランド価値を否定する風潮に、私はずっと違和感を抱いていました。
そんな疑問からブランドビジネスの解説書(ラグジュアリー産業: 急成長の秘密 ピエール=イヴ ・ドンゼ (著) )を読んだことをきっかけに、様々な企業のブランド戦略を知る楽しさにすっかりハマってしまいました。
そこで、クルマというプロダクトにおけるブランド哲学や戦略も学んでみたいと考え、タイトルに惹かれて手に取ったのが本書です。
戦略の分析ではなく「ブランドの歴史カタログ」
世界の主要32ブランドの変遷を論じた一冊ですが、率直に述べると、私が期待していた内容とは異なりました。
最大の理由は、タイトルにある「なぜ物語(ブランド)を買うのか」という問いへの明確な答えや、ブランド構築の理論的・客観的な考察がほとんど示されていない点です。
「はじめに」と「あとがき」を除くほぼ全ページが各メーカーの歴史紹介という「各論」に終始しています。
この本のターゲット層もやや曖昧。
普通のクルマ好きなら既に知っているような基礎知識が多い一方で、説明なしに「マツダ地獄」といった専門用語が登場します。私自身は「マヅダ地獄」が何を意味するのか知っていますが、最近のクルマ好きは知らない人もかなり多いのではないのでしょうか?
歴史的事実を述べた文章の中に唐突に筆者の持論が展開される書き方もそれなりにあり、その書き方も違和感を覚えました。
そしてこの本は、写真やイラストが一切なく文字のみで構成されているため、その都度スマホで調べる必要があります。
「広告史に残るフォルクスワーゲンの名作広告」と紹介されても、写真やイラストが一切なく文字のみで構成されているため、その都度スマホで調べる必要があり、読書としてのテンポが削がれてしまいます。
ただ一方で、GMやベントレー、アストンマーチンなど、私にとって馴染みの薄いメーカーの歴史を学ぶきっかけになった点は収穫でした。
総評
各メーカーがいかにして今日のブランドイメージを構築したかという「戦略や哲学」を学びたい方にはおすすめできません。
ただし、「自動車メーカー各社の歴史をまとめたカタログ」と割り切り、気になったブランドを自分でAIや検索を使って深掘りしていくための「探求の種」としては活用できるのではないでしょうか。
『終のクルマ選び』(温水 ひろし著)
愛車S660の「表紙買い」と、YouTuber本への警戒
「終のクルマ」。
クルマ好き趣味の集大成として最も長く愛し続ける自分のとっておきの一台。
一介のクルマ好きとして非常に惹かれるテーマですが、それ以上に私の目を釘付けにしたのは、表紙を飾るホンダ S660の写真。
S660を愛車としている私にとっては買わないわけにはいかず、完全に「表紙買い」した一冊です。
ところが、自宅に届いた本の帯に「YouTube『秘密基地ひろし』で大人気!」と書かれているのを見て、一瞬後悔がよぎりました。
正直なところ、YouTuberの本というだけで「内容が薄いのではないか」と色眼鏡で見てしまい、警戒態勢に入りました。
「模範解答」を排した、忖度なしの心地よさ
結論から言うと、私の警戒は完全に杞憂でした。
読書というよりは、まさに「YouTube番組を横で見ているような感覚」で気軽に楽しく読める良書です。
本書では「スポーツカー」「オープンカー」「SUV」「軽自動車」「エコカー」「スバル車(著者が元スバル開発者のため)」という6つのタイプ別に終のクルマを選定しています。
一般的な自動車ジャーナリストがこうした本を書けば、スポーツカーはポルシェ 911、オープンカーはNDロードスター、軽自動車はN-BOXといった「万人が納得する模範解答」になりがちです。
しかし本書は、読者への正解提示ではなく「著者自身の明確なこだわりと条件で選ぶ様子」を綴っています。
「スポーツカーはMT必須」「SUVはクロカン以外はダメ」といった強いこだわりがあり、条件に合わなければどれほど売れている人気車でもバッサリと切り捨てていく忖度なしの姿勢が中々爽快でした。
随所に散りばめられた元開発者ならではの視点や蘊蓄も、内容に確かな深みを与えています。
総評
160ページと文章量はやや少なめですが、普段あまり本を読まない層でも挫折せず楽しめる構成になっていました。
何より、読んだ後に「自分にとっての終のクルマとは何か?」を考えたくなる、クルマ好きのモチベーションを大いに刺激してくれるおすすめの一冊です。
『僕らがポルシェを愛する理由』(山川 健一著)
出版から35年。知識を深めて改めて読む「ポルシェ本の定番」
1991年(平成3年)に発行され、出版から35年が経つ今なお「ポルシェ本の定番」として真っ先に名前が挙がる名著。
私にとって初めてのポルシェである「718ケイマン」を迎えた4年前にも一度読んだのですが、当時の私はポルシェの知識が乏しく、本書の魅力を十分に理解しきれませんでした。
ポルシェオーナーの端くれとして4年を過ごし、知識も理解も深まった今ならもっと楽しめるはずと思い、改めて読み直しました。
時代背景と、今なお変わらない「ポルシェ乗りあるある」
本書が書かれた1991年は、パワステやティプトロニック(AT)が導入された「964型」の全盛期であり、著者が愛車として熱烈に語る先代「930型」も数多く現役だった時代。
「964でポルシェは軟弱になった」「いや、最新のポルシェが最良だ」という、いつの時代も繰り返される新旧論争が熱く語られているのを本書でも触れられており、、なんだか面白い(笑)。
面白いのは、35年前の本でありながら現代のオーナーにも通じる「あるある」が満載なこと。
「クルマに乗るのではなく『ポルシェを着る』という一体感」という表現は、718ケイマンに乗る私にも一端が体感できましたし、「あらゆるスポーツカーに温かいまなざしを向けるのに、なぜかフェラーリだけは敵視している」といった描写には思わず笑ってしまいます。
2026年の「未来人目線」で楽しむ答え合わせ
今この本を読む醍醐味は、1991年当時の未来予想や噂を、2026年を生きる「未来人」として答え合わせできる点にあります。
「911のRRレイアウトをミドシップに移す計画がある」という当時の噂は、後のボクスターやケイマンとして結実しつつ、911自体は水冷化を経てもなおRRを守り続けています。
「90年代半ばに4ドアのポルシェが出る」という噂も、当時の極秘開発(989)こそ中止になったものの、後にパナメーラやカイエンとして現実のものとなりました。
バブル期のファッション感覚のオーナー増加に対する危機感と、それでも揺るがないポルシェの未来への信頼が、当時の熱量そのままに伝わってきます。
総評
水冷化やSUVの登場、近年のEVシフトの波など様々な変遷を経ても、ポルシェとポルシェ乗りの本質は35年前から驚くほど変わっていません。
ポルシェオーナーであることを誇らしく思わせてくれる、まさに「バイブル」として手元に置いておきたい一冊です。
なお、非911オーナーが読むと猛烈に911や空冷モデルが欲しくなる副作用だけは間違いありません(笑)。
クルマの本だけでもまだまだ読みたい本はたくさんある
今はすっかりスマホやAIの時代になりまして、本から得られる情報の価値はかなり限定的なのは間違いないでしょう。
でも、読書体験はむしろ価値が上がっていると感じます。
スマホという無限に時間を消費し、脳を常に刺激し続けるアイテムに依存しすぎるのは非常に良くない…と個人的に感じています。
しかし本一冊と愛車のキーを持って(あと財布も)出かければ、ドライブ先の公園や喫茶店なので何物にも邪魔されずにじっくり自分の時間を味わえる。
そんなドライブ×読書体験が最近のマイブームです。
実は今まで読書などほとんどしてこなかった人生ですが、本に目を向けて見るとクルマの本だけでもまだまだ読みたい本はたくさんあることに気付きます。
クルマ関連の本はこのブログでもたまに紹介するとして、その他の本についてはnoteを覗きに来ていただけると大変嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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